田中
では、そのオーナーシェフのケーキ屋で2年間働かれた後は?
室井氏
もう、すぐ自分の店を出しました、29歳の時です。
今はそのくらいの年で店を出す方も居ますけど、10年前の当時としては早い感じでしたね。
田中
トータルで、卒業して8年後くらいですね。
その時、お店を出そうと思ったきっかけや、ここに出そうと考えた理由は?
室井氏
ここに出そうと思ったのは、ここに昔、住んでいたからです。
昔とは大分変わってはいるんですが、目の前の道路の所に自宅がありまして、開発や区画整理があってこのあたり全体が変わったんです。
いざ店を出そうと思って唐津に帰ってきたら、この場所にこの物件があって、昔の想いや気持ちだけでここに決めました。
オープンしたのが1997年10月です。
田中
ルシェルシェという名前について教えて下さい。
室井氏
店を出すにあたって名前はいろいろ考えました。
でも結局、自分が若いうちから店を出すという事で、「勉強する」という意味のニュアンスの名前にしようと思いまして。
それで「ルシェルシェ」というのがフランス語で「探求する」などと言う意味で、よしこれで行こうと決めました。
田中
オープンした時の状況はどうだったんでしょうか。
また、エピソードなどありましたら教えて下さい。
室井氏
オープンした時は3人でした。
私と、製造、販売を1人づつ、ただもう人はすぐに入れましたが、
店を建てる時、工事の時にとりあえずここに来て、「あぁ店が出来るんだなぁ」とその時に向こうの方から工事している店を見ていると、
誰も通らないじゃないかと思いました。
とにかく誰も通らない、車も走らない、大丈夫かなと少し不安でした。
でも、実際オープンしてみると自分たちが考えていた倍ぐらいのお客様に来て頂いて、3人で出来る分しか考えていなかったので、
3人じゃ全然追いつかないし、最初はほとんど店に寝泊りでした。
オープンしてからよりも、今の方がいろんな意味で大変なのかもしれないです。
やはり人が増えれば増えたなりの苦労があります。人が少ない時は商品を作らないといけないと言う辛さはあっても、人が多くなると、
作る事が本業と思っている自分としては違う事にエネルギーを使わなければならない訳です。
オープン時は時間的な苦労はあったとしても、どちらかと言えばそっちのほうが良かったなと思う時があります。
ケーキを作る事よりも、本当にキチンと経営という部分をしないといけないですからね。
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