田中
本日はよろしくお願します。
まずは、生年月日と出身地をお願いします。
また、子供の頃はどんな事に熱中していましたか?

宮川氏
昭和46年11月15日坂本竜馬と同じです。
福岡市南区大橋で生まれて福岡市西区野方で育ちました。
体育と図工が好きで、勉強嫌いでしたから暗くなるまで外で遊んでました。また、中学、高校の頃はサッカー部に入りサッカーに夢中になってました。

田中
パティシエを志したきっかけは?

宮川氏
小学校の頃から漠然と「コック」さんになりたいなと思っていました。 高校の時には大学に行こうかな〜と思っていましたし、ただ大学に行って何がしたいのかと思った時に「コック」さんになりたかったんじゃなかったのかと思って、白衣にあこがれていたんですね。
人と違うことがやりたかったんで、ある時、デコレーションのパンフレットを見た時にこれだ!って思いました。

それで、大阪の辻製菓専門学校に入学しました。
お菓子のことは何も知らず、ミルフィーユって何?って感じでした。ショートケーキとチーズケーキとモンブランしか知りませんでしたから。

卒業後は大阪で2年間洋菓子店で菓子職人としての基礎を学びました。それから福岡に戻り、一度はお菓子以外も見てみたいということでレストランで半年間働きました。そこのシェフに博多全日空ホテルのシェフを紹介いただき入社し、13年間お世話になりました。
ペストリーと言うんですけど製菓部門ですね。

田中
宮川シェフはよく賞を取られていますが、コンクールに参加したきっかけは?

宮川氏
全日空ホテルに入社して2年目ぐらいでしょうか。きっかけは日頃の仕事とは違う所で自分の力量を試してみたくて参加しました。
初めてお菓子のコンクールに参加して運良く最初から賞を頂きました。
ホテルでしたので洋菓子とは別に料理のコンクールにも出る機会とかもあったもんですから、それが良かったですね。

通常の業務が終わって練習なり試作をするもんですから、時間というのをどうやって使っていくかとか、だからコンクールで賞を取ったというのは結果論ですから、それに向けて本を読んだり調べたり試作をしたり練習をしたりと、それがそのまま通常の業務にフィールドバックされて、
いい相乗効果とか集中力だったりセンスだったりとかが身に付いたのかなって思います。

田中
修業時代のお話をお願いします。

宮川氏
大阪の洋菓子店の2年間の修行時代はきついと思ったことはありますけど、この業界を辞めたいと思ったことはありませんでした。
器具や材料の名前も知らないわけですから、自ずと調べる事、勉強する事が分かってくるわけです。

きつい口調で教えてもらっていると思えば苦にもならないし、自分が好きで入った道ですから、かえって何も知らないから素直に習得できた部分もあります。
将来は凄い職人になってやるって想いはいつも持っていましたね。
休みの時には一人住まいでしたので、洗濯や掃除とかケーキ屋さんを回ったりとか、もちろんお金もないわけですから、旅行に行ったりとか出来ませんし、本も買えないから立ち読みするぐらいなもんで休みの日は時間が経つのが早かったです。

大阪の2年間は言われるのをこなして行く感じでしたけど、福岡に帰ってきて全日空ホテルに勤めてからの方が勉強はしましたね。
最終的にはペストリー部門のシェフになるんですけど、全てにおいて管理しなくてはいけないわけです。
人の管理から数字の管理等、出てくるんで、それがいい経験ですよね。お店をするときに役立っています。

田中
独立されるきっかけは?

宮川氏
まだ、漠然としてました。
ただ、いいパティシエになりたい、いい職人になりたい、ホテルに入っていつかはシェフになりたいと、シェフになった時には次の目標という事で、それを社内じゃない所に目を向けるようになって、自分の名前で勝負したいと思った時に、独立を決意するきっかけになりました。
準備は少しずつしていました。他のお店にお話を伺ったりして、ホテルを退社して2ヵ月後にはオープンしました。

田中
ここにお店を出されたのは?

宮川氏
まず、地元にお店を出したい事。 場所も道路沿いで、住宅街だったという事ですね。
これからは都心部じゃなくて、郊外になっていく時に、西って言うのはキーワードかなって、地下鉄や都市高速も整備されてきた事を総合的に判断してこの場所に決めました。なによりも土地勘があることがいいですね。

田中
ポッシュの名前の由来は?

宮川氏
ポッシュはフランス語でポケットと言う意味です。
あと、お菓子屋さんが使うクリームを絞る、「絞り袋」って言う意味もあるからです。
自分だけのポケットの中に夢や希望が詰まっていそうな。そういう空間にしたいという想いで命名しました。

田中
お店をオープンされて、今年で何年ですか?オープン当時のお話をお願い致します。

宮川氏
2008年で3年になります。
オープンに関しては比較的スタッフも揃えて開店しましたので、お店の経営に関しては順調かなって思います。

満足をしているとかではないんですけど、目が届く範囲で、自分が納得したものをお出しできる
事がやはり一番ですね。

田中
菓子職人にとって大切な事は?


宮川氏

食べる人がいてのものですから、箱を開けた時だったり、袋から取り出すときに「わっ!」というときめきをイメージしながら、私らがやっている仕事は、作る事の喜びとか、食べていてくれる人がいてくれる事が一番大事な部分です。その想いに応えたいために、きっちりしたものを作っていかなければいけないと思います。

家を作るのと一緒で、そこに人がいて、作る人がいる。その中に技術だとか知恵を組み込んでいくものです。
私たちの仕事は人を喜ばせる事ですからね。

田中
これから菓子職人になりたいと思っている人にアドバイスを。

宮川氏
お菓子が好き、あとは人が好きじゃないと、それはただの作業にしかならないです。
お菓子を作っている作業じゃなくて、お菓子を作る仕事をする。その先にいる人のこと考えないと感動は与えられませんね。
あとは、自分がどうなりたいかです。

お菓子を作れる人になりたいのか、お菓子で人を喜ばせる人になりたいのか、そういった部分でも違うと思います。
何もかも自分次第ですね。想いが強い人がどうしても成功するだろうし、想うだけじゃ出来ないし、行動に移し、継続しなければいけないし、
念願のお店ではないですよね。

ひとつの手段がお店を作ることで、その先にはまだまだ勉強をする事が多くあると思います。
それは商売という行為をする限り変わらない部分であると思います。

田中
本日はありがとうございました。